酵素は化学反応を触媒するから酵素なのですが、α-アミノ酸が特定の順番でペプチド結合でつながったタンパク質にほかなりません。つまり、20種類のアミノ酸がある特定の順序で繋がってできています。その設計図はDNA上にあります。その酵素を私達が食べたらタンパク質分解酵素で分解されてしまいます。だったら、酵素でなくてもタンパク質や肉を食べればいいことになりませんか。酵素という言葉を使わなければならないということでああれば一定の理解はできますが・・・。

一般に補酵素はビタミンからつくられるので、タンパク質ではないビタミン類を酵素ドリンクと銘打った商品から摂取するというのであれば、まあぎりぎり理解できます。



ヒトの酵素は3000種類あるといわれていますが、研究や分析技術が進んだ現在は2万種類を超えると考えられています。基本的に1種類の酵素は1種類の化学反応を触媒します(基質特異性)。基質とよく似た分子が反応を受けることはありますが、基本的にはターゲットの分子が決まっています。

生命活動を担う化学反応は非常にたくさんあるので、酵素もその反応の種類だけあるわけです。だから3000種類とか2万種類とか言われるわけです。私達が酵素を経口摂取したら、タンパク質分解酵素(消化酵素)でペプチド結合が切断され(加水分解され)、元のα-アミノ酸になります。

つまり、酵素が加齢により少なくなったからといって、外から補うことはできません。

酵素は化学反応を触媒するタンパク質にほかならないから消化酵素で分解されます!

kuma
それでも、酵素を経口摂取しても分解されずに生き残るのがいるかもしれないよね。
nomi
効率が悪くても効けばいいという考え方?
kuma
うん。でも、実際はそんなことはないんだ。
nomi
そうなんだー


効率が悪くても効くならばサプリとしてはありですが、実際はそんなことはないでしょう。酵素を外から補うことは現実的ではありません。分解されて原料のアミノ酸に戻るだけです。だったら、わざわざ高価な酵素でなくても、ふつうのタンパク質を食べればよくありませんか。肉や大豆を食べればいいじゃないですか。プラシーボ効果を期待するなら、それもありかもしれませんが。

だから、冒頭に書いたように、補酵素になるビタミンが入ったドリンクならありだと思います。でも、それって、酵素ドリンクではないですよね。私は買ったことがないので詳細はわかりませんが、商品名から受けるイメージと学術的な面で矛盾を感じてしまいます。一般の人はどう思っているのでしょう。そこのところを理解している人はどのくらいいるのでしょう。

酵素を外から摂っても、それがそのまま体の中で酵素として働くことはありません!体の中でアミノ酸に分解されるだけです。野菜を食べるのは繊維質や有効な化学物質を摂るためであって、酵素を摂取して即戦力として体内で働いてもらうためではありません。それができればどんなにいいことか。老化によって失われた酵素を外から補充できるのであれば、原理的に若返りが可能です。

そもそも、食べて痩せるものなんて、そんな都合のいいものはありません。それはエネルギーの物質収支から考えても明らかです。食べたらそれ以上の努力が必要です。私の知人にブクブク太った人がいます。本人はそんなに食べていないといいます。でも、バイキングなどで観察していると、普通1個とるところを2個とったりしています。通勤途中でコンビニに寄って油物を食べたりしています。もし、本当に食べていなくて太るのであれば、その人は自分の体の中でエネルギーを生産していることになるので、未来のエネルギーとして期待できます。100を200にできるのであれば、エネルギー問題の解決の糸口になります。ノーベル賞がもらえるかも。実のところ、そういう自分を律することができない人が教育職に就いて、管理職もしていることに世の中の矛盾を感じます。アメリカでは太った人は管理職になれないと聞いたことがありますが、日本で良かったですね、○○さん。(ちょっと脱線してしまいましたが。)

酵素はそもそも加熱処理された段階で失活しています(パパインは100°C以上でも失活しないと言われていますが・・・)。また、pH2でも失活しない酵素もあることはあります。しかし、多くの酵素は人間の胃液で失活します。では、鳥や動物はどうでしょう。例えば、オウムはパイナップルを食べません。それは、パイナップルの中に肉を溶かす酵素が入っているからです。それを本能的に知っているのです(以前、所さんの目がテン!で見ました)。鳥は人間のような胃液がないので、酵素が失活しません。つまり、鳥は生のパイナップルを食べるとタンパク質分解酵素(消化酵素)で自分がやられてしまうことになります。生のパイナップルの中の失活していない酵素が自分の胃を溶かしてしまうわけです。パイナップルの缶詰は酵素は加熱処理で失活しています。でも、人間は生のパイナップルを食べても平気です。それは、酸性の胃液で酵素が失活するからです。酵素にはその酵素特有の至適温度とか至適pHというものがあるのです。

ただ、酵素を摂取するのは目的次第ではありでしょう。例えば、タンパク質としての酵素の原料を得る目的で酵素を摂るのなら一定の理解はできます。でも、それならばタンパク質や肉を食べればいいのでは?酵素を経口摂取しても酵素を補充したことにはなりません。それがそのまま体の中で生命活動を担う触媒として即戦力で働くことはありません。

市販の酵素ドリンクに含まれている酵素以外の成分を摂るためなら意味はあるかもしれません。しかし、それなら酵素という名前を使うことによって誤解されると思います。青汁でいいし、自分で作る野菜ジュースでいいと思います。その方が安く上がると思います。プラシーボ効果を期待するなら別ですが・・・。

以上が一化学者としての見解です。化学を勉強したら普通に持つ疑問です。

いずれにしても自己責任です。

それでは、また。