こんにちは。kuma&nomiです。

エチレンといえばポリエチレンの原料というのが一般的な認識だと思います。しかし、意外なところで私たちはエチレンを利用しています。それはリンゴから出てくるエチレンです。キウイと一緒に置いたりしますね。じゃがいもの場合は発芽を抑制したりするので、ケースバイケースで促進したり抑制したりで不思議なものです。

エチレンというのは慣用名です。系統名(IUPAC名)はエテン(ethene)です。付け方は、炭素数2個の飽和炭化水素(アルカン)のethaneをもとに浸けます。C=C二重結合を有する化合物はalkaneのaneをeneに変えます。すると総称はalkeneになります。炭素数2個なのでethane⇒etheneとなります。でも、一般にはエテンとは言わずにエチレンといいます。示性式はCH2=CH2です 。エチレンはC=C二重結合を有する最も単純な化合物です。芳香族化合物ではありません。芳香族化合物の最も単純な化合物はベンゼン(C6H6)です。(4n+2)π電子系でn=1の時がベンゼンに相当します。n=0の場合は2π電子系となりますので、芳香属性はありません。エチレンは最も簡単な不飽和炭化水素(アルカン)です。甘い香りがします。水にはほとんど溶けません。強い極性基を持っていないからです。そのかわりに有機溶剤には可溶です。

エチレン
エチレン

ポリエチレン
ポリエチレン

エチレンに置換基がついた化合物は慣用名がけっこう使われています。しかもたくさんあります。アクリル酸、アクロレイン、カアクリロニトリル、塩化ビニル、プロピレン、スチレンなど。ビニルという言葉はエチレンから水素を1個取り去ったH2C=CH-を表わしています。例えば塩化ビニルがポリマーになったものがポリ塩化ビニル(poly vinyl chloride, 略してPVC)です。ちなみに、レコード収集家のことをバイナルジャンキー(vinyl junkie)ともいいますね。中毒者のようにレコードが好きな人のことを言いますが、ここでバイナルと言うのはレコードが塩ビ(PVC)からできているからです。英語の発音がビニルではなくバイナルだからバイナルジャンキーと言うのですが、その言葉を初めて聞いた人にとってはバイナルとビニルはたぶん繋がりませんね。

エチレンがつながっていく時の考え方

このエチレンのC=C二重結合のうち、最初の1本はσ結合(シグマ結合)といいます。2本のうち、どちらでもいいです。2本目がπ電子(パイ電子)といって、反応性があります。これがポリエチレンができる理由です。ラジカル重合でつくります。エチレンがたくさん繋がったものがポリエチレンですが、どのように考えるかというと、まず、結合の1本の線は両端に電子があります。相手と自分で電子を1個ずつ共有(シェア)して電子対を形成しています。エチレンモノマーのこの2個の電子を相手と自分でシェアするのをやめて、お互い、別のエチレンとシェアしたらどうなるでしょうか。その際に、その別のエチレンの分子の中でもシェアする相手を変えてもらわなければならないですが・・・。そうすると、エチレンが繋がっていくことがわかります。そして、π結合は消えていくので、σ結合の1本しか残りません、だから、ポリエチレンは単結合だけから成り立っています。

ポリエチレンの構造式における括弧の右下に付けられたnは平均重合度といいます。合成高分子の重合度には分布が生じるので、平均重合度です。それにエチレンの分子量を掛けたものが平均分子量です。nは一般にはとても大きい数字です。nが数個〜20個ぐらいまでは一般にオリゴマーといわれますが、ポリマーとオリゴマーの境界線は明確ではありません。

括弧の外には何も繋がっていませんが、本来は、水素原子とか、水酸基とか、重合開始剤とか、溶媒とか、その他の可能性があります。これらは末端基といいます。しかし、実際はnがとても大きいので、分子がとても長いわけです。そうなると、分子全体における末端基の占める割合は無視できます。また、ラジカル重合でつくったポリマーの末端基は何が付いているのか明確ではないという事実もあります。これら2つの理由から、エチレンやビニル化合物のポリマーの末端基は一般には書かなくてよいことになっています。ただし、重縮合で作ったナイロンやポリエステルのようなポリマーでは、一般に末端基は明確なので書くのが普通です。

植物ホルモンのエチレン

エチレンは植物ホルモンの1つでもあり、エチレンが出て来るリンゴと一緒にバナナを置いておくと成熟が早く進みます。でも、ジャガイモと一緒に置いておくと、発芽が抑制されます。イメージでは促進されそうですが、逆なのですね。私は以前、自分で栽培して収穫したキウイをリンゴと一緒に食器棚の中に置いていて、キウイが早く腐ったことがあります。アボカドとも一緒においていたら、予定よりも早く熟してしまったこともあります。思ったよりけっこう効くので、マメなチェックが必要です。

それでは、また。