こんにちは。kuma&nomiです。

今日は木工用ボンドでレコードのクリーニングができる理由を話したいと思います。でも、大切なレコードですので、できればやめておいた方がいいと思いますよ。失敗したら目も当てられないことになります。よっぽどひどくてこのままではどうせ使えないから起死回生を期待してやってみようだったら「あり」ですが・・・。

私はちょっと前にJOURNEYのLP中島みゆきのLPをやったことがあります。あとは高校生の時にやったことがあります。いずれもレーベルにくっつかないように、かつ、連続した1枚のフィルムになるようにきれいに塗って、あとは透明になるまできちんと乾かすことができれば、何とかうまくいきます。でも、私は自分で言うのも何ですが器用な方だと思います。不器用な人は無理だと思います。

LPレコードはポリ塩化ビニル(PVC)というプラスチックです。

PVC

この化学構造を見ると、水には溶けない物質であることがわかります。しかし、一般の有機溶剤には溶けます。溶けるというと語弊がありますが、混ざり合います。つまり、少量塗っても表面が変化します。水を塗っても何も起こりません。まず、ここがポイントです。人間関係においては「類は友を呼ぶ」というのがありますが、化学の世界では「Like dissolves like」というのがあります。似た者同士は混ざり合う、似た者同士は溶かし合う、というような意味です。水と油は混ざり合わないですが、水と、水に性質が近い有機溶媒(低級アルコールなど)は混ざり合います。油と油は混ざり合います。水に食塩(NaCl)は溶けます。油に食塩(NaCl)は溶けません。LPレコードはポリ塩化ビニルですから油の仲間です。木工用ボンドは水の中にポリ酢酸ビニル(PVAc)というポリマーを分散させてあります。ポリ酢酸ビニルは油の仲間ですが、この木工用ボンドのエマルジョン系でPVCを溶かす、あるいは表面の形を歪めるまでの能力はありません。水は当然PVCとは反応しません。だから、LPレコードに木工用ボンドを塗ってもLPレコードが溶けて音の信号が変えられることはほとんどありません(全く影響ないかといえば、それはわかりません)。そして、水がだんだん蒸発して抜けいくと、PVAcだけが残ってきます。PVAcはチューインガムのネバネバ成分でもあります。乾くと透明なフィルムになります。化学の世界で言う、いわゆるキャストフィルムです。そのフィルムにレコード盤の溝に入っていたほこりやカビがくっついてくるので、きれいに乾いた透明なフィルムをゆっくり剥がすと、一緒に付いてきて、レコード盤面がきれいになるという原理です。

綺麗に乾いた木工用ボンド
綺麗に乾いた木工用ボンド

剥がしたPVAcフィルム(中央に剥がれた汚れが見えます)
剥がしたフィルム

もちろん、乾いていない白い部分が残ったままで剥がすと失敗することは明白ですね。

ましてや、セメダインやアロンアルファを使ったらどうなるかは推して知るべしです。

ということで、LPレコードを木工用ボンドでクリーニグできることは化学で説明できます。しかし、もし、木工用ボンドにアルコールとか、ほかの有機物でも、水に溶けるものが少しでも入っていたらやめた方がいいと思います。音を刻んである溝が変化してしまうことがないとはいえません。

だから、ホームセンターで木工用ボンドを買う時は、中の成分は何が入っているかをよく見て判断する必要があります。でも、有機化学の専門の人でない限り、細かいところの判断は難しいかもしれませんね。

やるなら自己責任でお願いしますね。木工用ボンドには問題はなくても、塗る人の腕が悪ければ、あるいは、せっかちな人であれば失敗して大切なレコードをダメにしてしまう可能性大です。

それでは、また。