フレンチパラドックスともいわれる、フランス人に動脈硬化などが少ないという結果の理由は赤ワインの中のポリフェノールが効いているのではないかと言われています。しかし、最近の研究ではポリフェノールではなくレスベラトロールという植物化学成分が効いているという説があります。レスベラトロールを摂取すると細胞のがん化抑制効果があるとも報告されています。一方で、レスベラトロールは効果がないという研究もあります。そのあたりはよくわかりませんが、もしかしたら、色々な分子がいろいろな成分の間で協同的に作用して相乗効果を発現しているのかもしれません。だからレスベラトロール単独成分の実験では効果が今ひとつ出ないことはあり得ます。まあ、そのあたりは今後の研究結果を待つとして、赤ワインが体に良いのは事実なので、そうなら、レスベラトロール単品ではあまり機能せず、レスベラトロールと他の成分の間の協同効果が重要なのかもしれません。あるいは、全く別の成分によるのかもしれませんが・・・。いずれにしても赤ワインを飲んだり、赤ブドウを自然の形で皮ごと食べるのが良いような気がします。バランスのよい自然食品の形で丸ごと摂るのが理想的でしょう。

レスベラトロールの分子構造について

resveratrol

レスベラトロール(resveratrol)は、trans-スチルベンに水酸基-OHが3個付いた化合物で、フェノールの1個の水酸基-OHからみてもう1個水酸基-OHが隣りの隣り(メタ位といいます)の炭素原子についた化合物レゾルシノール(resorcinol)が付いていることから、名前にresが入っています。trans-3,5,4′-trihydroxystilbeneや
3,4′,5-stilbenetriol、またはtrans-resveratrolといった命名が可能です。(E)-5-(p-hydroxystyryl)resorcinolや(E)-5-(4-hydroxystyryl)benzene-1,3-diolといった命名もできます。ここで(E)-はtrans-と同じ意味です。幾何異性体に浸ける接頭語です。ドイツ語のentgegen(逆に)の頭文字です。レゾルシノールは日本のニキビの市販薬にも入っています。分子の中央のC=C二重結合は光を照射することによりtrans型がcis型に光異性化したり、光二量化して環状のシクロブタン環を形成することが可能です。光二量化すると共役系が中央で遮断されて短くなるので、元々の淡黄色が無色になります。IUPAC名ではジアリールエテンdiarylethene系、つまり、エチレンethyleneの系統名エテンetheneにアリルaryl基が2つ、この場合ベンゼン環が2つ付いているのでdiという接頭語が付いているという形の命名もできますが、一般には慣用名としてスチルベンに置換基が付いているという形の名称を使うことが多いです。レスベラトロールはジエチルスチルベストロールにも少し構造が似ています。